「あっ。これは死ぬな。」
思わず声に出た。そしてその三分後、僕は死んだ。
その二日前、僕は確かに生きていた。その証拠に、僕は彼女とデートをした。ホテルに連れ込み彼女のおっぱいを揉んだ。時には軽く。時には激しく。二日後に自分自身が死ぬ事を知っていれば、もっと色々なプレイができたはずだった。だが、僕はそんな事知らなかった。僕は彼女のおっぱいを寄せて上げて吸い付いた後、次に会う約束をした。約束の日はその四日後だった。
僕が死んで二日後、僕は彼女に再会した。僕は死んだはずだったのに何故か生きていた。
「ねえ、この四日間何してたの?」
僕は彼女に聞いてみた。彼女は何も言わず、ただ涙を流した。
「ねぇ、どうして泣くの?」
「だって、あなたが生きてるから。」
「じゃあ、死んでた方が良かったの?」
「そんな事、言ってないじゃない。」
彼女が僕に何かを伝えたいんだって事は鈍感な僕でもすぐに気が付いた。何を伝えたいのかが解れば完璧なんだけど。胸が少し痛む。
彼女に再会した日の前日、僕の通夜が行われた。たくさんと言う程では無いけれど、それなりの数の友達が僕を見にきてくれた。正直、嬉しかった。ほとんど会話した事の無いクラスメイトの一人が僕を見て泣いていた。彼は何かを呟いたようだった。彼が何を言ったのかほとんど聞き取れなかったけれど、口の動きから推測するに「おっぱいフェチ」と言ったんじゃないかと思う。なんて奴だ。失礼にも程がある。
僕が産まれた日の翌日、雪が降ったらしい。母に聞いた記憶がある。母は難産の末、僕を産んでくれたそうだ。だが、その無理が祟ったのか母は帰らぬ人となってしまった。母がもし死ななかったら、僕は違う運命を辿ったのだろうか。僕はもっと長生きしたんじゃないだろうか。「おっぱいフェチ」なんて呼ばれなかったんじゃないだろうか。死んでからそんな事を考えたって意味なんか無いのだけれど。
僕が産まれてから十九年。初めて彼女ができた。僕は彼女と一緒にいるだけで幸せの絶頂だった。
「ねぇ、今度はいつ会えるの?」
「ちょっとバイトが忙しいんだ。今度は四日後かな。」
「じゃあ、四日後に会おうよ。」
「そうだね。」
そしてその二日後、僕は死んだ。おっぱいの事を考えながら眠っていたら、何故か目が覚めなかった。何故か・・・永遠に・・・。
「ねぇ、どうして泣くの?」
「だって、あなたが生きてるから。」
「じゃあ、死んでた方が良かったの?」
「そんな事、言ってないじゃない。」
「君に会いたくて僕は戻ってきたんだ。」
「私はもう会いたくないの。」
「どうして?」
「だって、涙が止まらないじゃない。」
「ごめん。じゃあ、もう帰るよ。」
「どこに帰るの?」
「本来、僕のいるべき所にさ。」
僕は棺桶を開けると再び中に納まった。ただひたすらに、おっぱいの事を考えたかった。おっぱいを想像しながら、僕は再び眠りについた。
その一時間後、僕は灰となった。