006 負け犬達の挽歌

クリスマスの夜にお見合いパーティに来てる奴というのは、いわゆる「負け犬」だ。
三十過ぎの独身女だけではなく、そもそもこんな見え見えの企画に来る人間が負けているのだ。
孤独感とか、社会の目とかに。

そもそも、誰も本気で相手など探していないのだ。
ただ単に聖夜の夜に何もしていないというプレッシャーに耐えられない弱い人間が群がっている。
こんなレベルの低いコミュニティでも恋愛事である以上、優劣は決定される。
真面目に相手を探せば、傷つけられるかもしれないのだ。
だから皆、なあなあな態度で適当に会話をしている。

本当に情けない「負け犬」どもだ。

斯く言う俺も参加者の一人である。
相手探しはまぁ適当にやれば、傷心の女でも見つけられるであろう。
十人並みの容姿でもあればお持ち帰りできるというわけだ。
「負け犬」ではなく「ハイエナ」と言ったところか。
多少は能動的だと自分を納得させて獲物を探す。

やはりレベルが低い女ばかりだが、ここで妥協してもしょうがない。
どうせ一夜限りの関係だし、欲張っても仕方がない。
平均より少し上の人間を探すのがコツだ。

と、ひときわ目を引く白いドレスの女がいた。
シックにまとまっているし化粧も地味目に抑えているが、アレは上物だ。
なにやら花束のようなものを抱えているが、それを時々椅子に置いて食事に手をつけている。
隅の前菜コーナーにいるために、誰にも話しかけられてはいないようだ。
チャンスだ、これを逃す手はない。

だが待て、こんなレベル低いパーティの中に普通に美人がいるのに、誰も話しかけないなんておかしい。
何か裏があるのではないか。
俺は今までの経験から、無数のパターンをシミュレートする。

@電波
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
ていうかよくもあたしを捨てやがったな死ねえええぇぇぇ!!」

しょっぱなから死ぬかと思ったぜ。

Aバツイチ
「あの、私一度離婚してて、まだ裁判で訴訟の最中なんですけどそんな女でもいいですか?」

一夜限りの関係なので、美味しくいただいちゃいました♪(最低)

B電波2
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
ああ、やっとロバから人間になれたのね!!」

さらに重症の女でしたが実害はないので美味しく(略

Cバツナナ
「あの、私七度離婚してて、まだ刑事裁判で拘留の最中なんですけどそんな女でもいいですか?」

通報しました。

D電波3
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
さぁ、縄に蝋燭に鞭よ、さぁ、縛って垂らして叩いて!!」

公開SMプレイで出入り禁止になったよ。

E変態
「ひゃっはああああああ!!」

いきなり裸になるな。

ふぅ、思えば美人に限って変人だった。ていうか電波ばっかりかよ。
これだけ修羅場をくぐってきた俺だ、どんな女でもかかってこいや!

覚悟を決めた俺は、白いドレスの女に話しかけようと、前菜コーナーに近づく。
と、俺と目を合わせた女がこちらに微笑みかけた。
・・・・・・ん、あの顔に何か見覚えが。

彼女は椅子からから花束を持ち上げ、いやそれは花束などではなかった。
赤ん坊がシーツに包まれていた。
その赤ん坊の顔は、どこか俺に似ていた。

「やっと会えたわロシナンテ、プレゼントがあるの」

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