002 28歳のクリスマス

去年のクリスマスに向けて,私は彼氏に聞いた.

「クリスマスプレゼント,何がいい?」
「サンタポリンカード」

サンタポリンカード.
某ネットゲームの,クリスマス期間限定で手に入れられるレアアイテム.

もちろん彼氏も冗談で言っただけ.
本気ではなかった……と思う.いや,そう信じたい.

ところが,たまたま,彼氏の祖母が病に倒れたせいで,クリスマス前後,ずっと一人で過ごすハメになった.
本当は彼氏とクリスマスイヴにケーキを分けるはずだったのに.

28歳のクリスマス.
暇になった私は,延々そのネットゲームに繋ぎ続けた.

「彼氏がクリスマスプレゼントにサンタポリンカード欲しいって言ったから,手に入れてくる〜!」

半分冗談で,半分本気の宣言.
聞いた友人たちは,相当私が恋愛にイカれたアホ女と思ったに違いない.

23日.宣言を聞いた友人に,「サンタポリンカード欲しいのなら」と連れて行かれたマップでもくもくと狩り続ける.
24日は平日だから仕事.予約注文していたケーキや料理を受け取り,一人でもくもくと食べ,その後もくもくと狩りをした.
25日は土曜日だったので,もくもくとケーキを食べ,もくもくと狩りを続ける.それでもサンタポリンカードは出なかった.

26日.
27日は月曜日で仕事.28日の午前10時でクリスマスイベントは終了だから,26日の日曜日がラストチャンス.

さすがにケーキに飽きたので,大食漢の友人を呼び,残っていたケーキを全部食べてもらった.
そして,本当はとても楽しみにしていた,アタック25年間王者決定戦も,有馬記念も,M-1グランプリ2004も半分そっちのけで,朝から昼から夜まで,延々延々延々狩りを続けた.
それでも,サンタポリンカードは出ないまま,時間が過ぎ去っていった.

M-1グランプリがアンタッチャブルの優勝で終わり,2時間が過ぎた.
半分,もうあきらめながら,適当に狩りをしていたとき.
サンタポリンカードがぽろっと出た.

何度も確認した.
何度も間違いないか確認した.

意地になって狩りを続けた甲斐があった.
あわてて,彼氏にメールで報告し,友人たちにも「手に入れたよ〜」と報告した.
みんな,とても驚いた様子だったが,おめでとうと言ってくれた.

それが,去年,28歳のクリスマス.
ある意味,すごく貴重な思い出.

今年もクリスマスに向けて,彼氏に同じ質問をぶつけてみた.

「クリスマスプレゼント,何がいい?」
「時間」

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