015 くまのぬいぐるみ。

ゆっくりと、
サンタクロースが降りてくる。

まるで
粉雪の一粒にでもなっているかのように。
音もなく、ゆっくりと降りてくる。

ずっと不思議に思ってた。

なんでこの人は
こんなに悲しい顔をするんだろう。

こんなにつらそうな表情を浮かべるんだろう。

こんな話をされたことがある。

クリスマスのプレゼントは幸せの再利用だって。

用意されていたのに使われなかった幸せを
再利用して配ってるんだって。

用意されてたのに使われなかった幸せってなんだろう。

すやすやと男の子が寝ている。
机の上には大きな靴下が置いてあった。
サンタは袋の中からプレゼントを取り出した。

サッカーボールを靴下に入れながら、
サンタはとても悲しそうな顔をしている。
まるで
自分が許せないかのように。

つらそうな顔のまま
サンタはそっと出て行った。

次の送り先は女の子らしい。

枕元に着くと、サンタは袋の中からプレゼントを取り出した。
大きなくまのぬいぐるみ。

首のところに赤リボンが巻いてある。

サンタの動きが止まった。

いつも悲しい顔をしてプレゼントを配るサンタさんが
いつもよりもっと悲しい顔をしている。

後姿しか見えないのでよくわからないけど、
どうやら泣いているみたい。

一言、女の子の名前をつぶやいてた。

後から
聞いてみた。

誰の名前だったのかを。

「死んだ娘の名前だよ。」

幸せの再利用がどういうことなのか

僕はやっとわかった。

僕が一緒にいるサンタさんは
3年前に女の子を亡くしたんだって。

忙しくてプレゼントが用意できなくて
女の子は泣きながらクリスマスの朝に起きてきたみたい。

その夜に渡そうと思ってサンタさんはくまのぬいぐるみを買ってきたのに
女の子はその日のうちに事故に遭ってしまったんだって。

ずっと、ずっと自分の子供のことを思い出しながらプレゼントを配ってたの。
自分の子供には渡せなかったのに
多くの子供にプレゼントを渡している自分を恨みながら。

もういない子供に謝り続けながら。

クリスマスに配るプレゼントは

用意されてた大きな幸せを
もらう前に死んでしまった子がいて。

使われなかった幸せを再利用して配ってるんだって。

それがその死んでしまった子の望みなのか
幸せを管理する神様の望みなのかはわからないの。

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