013 クリスマス・プレゼント

また今年もクリスマスがやってきた。

毎年クリスマスになると父がサンタに扮装して窓から忍び込み、プレゼントを置いていく。そして翌朝喜ぶ娘の顔を楽しみにしているのである。去年までの私はそれに付き合い、父の望む娘を演じてきた。朝起きてプレゼントに気づき、歓喜の声を上げる。

けど。そんな家族ごっこはもううんざりだ。

今年は寝てるフリをして、父が窓から入って来た所を怒鳴ってやろう。「泥棒!」って。父はどんな顔をするだろう。驚くだろうか。慌てるだろうか。その光景を想像するだけで可笑しい。

12月25日土曜日。今夜のイベントに思いを馳せている父の顔が見ていたくなかったので、用もないのに商店街へ出た。赤と緑に装飾された街並み。世界中が長波長域に傾倒している異常な時期だ。クリスチャンは紫色が嫌いなのかもしれない。流れている曲は鬱陶しいくらいクリスマスソング一色。うるさい、TUBEをかけろ。
……それも鬱陶しいか。自嘲気味に笑う。

街にはカップルと家族連れ。ふと、父のサンタ姿が思い浮かぶ。父の顔が見たくなくて家を出たのにここでもつきまとうなんて。

にしてもあの衣装は意味があるのだろうか。私が寝たのを見計らって窓から入っているんだし、格好なんてどうでもいいと思うんだけど。私が起きてしまった時の用心だとしたらご苦労様。すでにバレてます。

どうでもいいことを考えていたらすぐに夕方になった。早く帰らないと父がうるさい。特にこの季節はすぐ暗くなるからなおさらだ。

憂鬱な気分のまま家族と食卓を囲む。毎年恒例の鶏のもも肉の夕食。食後には苺のケーキ。父が窓から忍び込まないのなら、クリスマスも悪くない。

夜も更け、私は部屋に入るなり早々にベッドにもぐる。枕元には毛糸の靴下。あとは父が窓から入ってくる時間――毎年決まって12時だ――まで待つだけだ。

10時。まだ2時間もある。ちょっと早すぎた。

11時。あと1時間。そろそろサンタの服を準備している頃だろうか。「母さん、アレどこやったかな、サンタの服」なんて。

11時半。あと30分。もう父はサンタの格好に身を包んでいるのだろうか。

11時55分。あと5分だ。

12時。来る気配がない。

12時10分。まだ来ない。どうしたんだろう、今年から中止にしたのだろうか。

あ。そうか。
私はおもむろにベッドから這い出ると、ドアを開けた。

「ごめん、父さん。窓開けとくの忘れてた」
赤い服を着てドアの前で逡巡していた父に、そう詫びた。

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