迎賓館裏口:2004/03/14 個別記事

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2004/03/14 (Sun)

// Texts 調べてみましたハルウララ //

わざわざこれを書くきっかけになったのは3月11日更新に頂いた1通のリアクションだ。
僕はこの日の更新でハルウララの話題に触れ、
 
普通に考えたら100戦負けっ放しの怠け馬だもんな、ハルウララ。
夢のない話ではあるけど、負けても負けても「頑張って」走る競走馬と云うのは偶像で単に負け癖がついた駄馬ってのが正解なのかも。

 
と結んだ。
意図としては、ただの駄馬をやたらありがたがってるメディアはどうなのよ? と云うありがちなところに落ち着くんだけど、ここに「被害者はむしろハルウララなのでは」と云う内容のメールを頂いたわけだ。
成る程、馬が「被害者」と云う視点は確かに僕にはなかった。
そこで、少々調べてみた。

とりあえず、僕が調べた中から幾つか競馬ファンなら知っているのであろう前提を並べてみよう。
 
まず、競走馬は愛玩動物ではなく、賞金を稼ぐための「経済動物」だ。
競馬場を走るために生まれて、そのための調教を受け、そして死んでいく。
年間9000頭ほど生産される競走馬たちの「平均」寿命は4歳程度。馬の「生物としての寿命」は20年から30年とされているのだけど、これに比べて圧倒的に短い。
維持費以上の賞金を稼げない競走馬は経費の無駄なので、(全てではないようだが)役に立たないと判断されるや否や相当数が食肉業者に売り払われて屠殺されるようだ。
このへんは馬の寿命だとか競走馬 寿命などのキーワードでGoogle検索すればいくらでもデータが出てくる。
上位200件くらい流し読みした範囲では、大きく矛盾する情報はないので、それなりに信用して良さそうだ。
 
ハルウララの連敗を無闇にありがたがっている人たちが大勢いるとして、その人たちの中には過去に何万頭何十万頭と処分され恐らく今も処分され続けているであろう「ハルウララになれないまま処分された馬」の存在は知らない人もいるんじゃないだろうか。
そうすると、ハルウララに感じる「価値」と云うものの種類は変わってくる。

ここで、ハルウララの経歴と成績を参照してみる。
http://data.keiba.go.jp/db/uma/dbq_uma.touroku?ktnum=1996106177
http://data.keiba.go.jp/db/uma/dbq_uma.rireki?ktnum=1996106177
上のURLが地方競馬データベースの登録情報、下が戦績だ。
リンクするとエラーを返すようなので、興味のある方はコピーペーストで参照いただきたい。
自らの維持費すら稼げない、見事な駄馬っぷりと言うほかない。
競走馬は経済動物、と云うポイントから見たらとっくに屠殺されておかしくない戦績だ。ハルウララはたまたま馬主の温情で生きているに過ぎない。
つまり逆向きで考えれば、負けても負けても果てしなくお金を入れることのできる馬主さえいれば、第2第3のハルウララはいつでも生まれてくるのだ。
少なくとも勝ち続ける馬を育て、維持することよりは難しくなさそうに思える。
 
朝日新聞高知の記事にこんなのがある。
ハルウララ人気の陰高知競馬に21連勝の雄
Googleのキャッシュでしか参照できないので、消えたときのために一部を引用しておくと、こんな内容。
 
103連敗で人気を独り占めしているハルウララの陰で、高知競馬に21連勝中の馬がいる。宮路厩舎(きゅう・しゃ)所属のイブキライズアップ(6歳・オス)だ。02年1月から昨年11月までの2年近く、高知競馬のレースでは無敗。勝つことの方がよほど難しいにもかかわらず、その活躍ぶりはすっかりハルウララの後塵(こう・じん)を拝している。
(中略)
高知競馬では、イブキライズアップが連勝を重ねて注目され始めた昨年8月ごろ、「イブキTシャツ」約100枚が作られた。ファンサービスの一環として販売する計画だったが、その直後にハルウララ人気が大ブレークし、彼女の関連グッズばかりが売れた。高知競馬のグッズ販売を手がける「サポートKRA」(橋口浩二さん代表)の事務所には、段ボール箱に入ったイブキTシャツが今も残っている。
(中略)
イブキライズアップは昨年末、両後ろ脚の筋肉を傷める故障に見舞われ、現在もリハビリ中だ。2月に入って歩行を再開し、回復は順調。調教師の宮路洋一さんは3月22日にある日本中央競馬会(JRA)との交流レース「黒船賞」(G3)にも間に合わせたいと思っているが、迷いもある。「負けることはたやすいが、勝つ馬は1頭だけ。万全の状態で出走させ、連勝を続けさせてやりたい」と話している。

ほかにはウララ商法そろそろピーク?のような記事も見つけた。
メディアは一切合切全部がハルウララ万歳なのかと云うとそうでもないようだけど、ウララ礼賛記事の多さからしたら圧倒的に少ないよね、やっぱり。
そりゃ武豊氏も生涯で一度も勝ったことがない馬が、GIレースを勝った馬達よりも注目を集める対象になるというのはどうにも理解し難いと言うだろう。
これはこれでちと含むところの残る意見ではあるけど。
 
ここまでをまとめると、コストの問題を度外視すれば、勝つ馬よりもはるかに生産が簡単に見えるハルウララがここまで注目を集め続けると云う現状にはやっぱり首を傾げてしまうと云うことだ。

さて、今度は参考リンクをざっと並べてみよう。
まず、ハルウララの走っている高知競馬なのだけど、これが慢性的な赤字経営で廃止予備軍とされていると云うのは周知の事実のようだ。日経のコラム
ところが、平成15年度の第2四半期から先、突如高知競馬は黒字になっている。高知県公式の収支報告
もちろんこの3月末の第4四半期も黒字の見込みだ。高知新聞の記事
まさにハルウララ様々といったところだろうか。

そうそう、ハルウララは最近オーナーが変わっているそうで。
新しいオーナーは株式会社エムエイオフィス。競馬エッセイストの安西美穂子さんが主催する会社だそうだ。ハルウララ引退後の預託先について
ああ、そういえば昨年末から今年の頭にかけて「おうちへ帰ろうCLUB記念特別」と云う名の付いたレースが2回ほど開催されてるね。(先に出した戦績のURLを参照)
これは安西美穂子 おうちへ帰ろうにちなんで付けられた名前のようだ。
また、ハルウララには花婿殺到だそうだし、これだけ話題になったのだ、無事に引退できて繁殖入りしたらその産駒は引く手あまたなんじゃないだろうか。
ここに、ハルウララ人気にぶら下がって黒字確保に必死の高知競馬や、馬主に名乗り出て飯の種にしてるエッセイストと云う構図が見えるような気がするのは僕だけだろうかなあ。
 
まあ、それが悪い事って訳ではないんだろう。なにしろ競走馬は経済動物なのだから。
ただ、メディアが作り上げたちょっとイイ話の陰にはずいぶん泥臭い世界があったものだと云うだけの話。

結局、ハルウララは被害者なのだろうか。
勝てないのにピークを過ぎてなお命を削って走らされ不幸なのか、それとも生き延びて金を稼げるだけ他の馬より幸運なのか。
調べたらますますわからなくなってしまった。
ハルウララを被害者と呼ぶならば競走馬の全ては被害者とも思えるのだけど、そうすると食用の家畜はどうだとか警察犬や盲導犬はどうなんだとか、疑問が広がりすぎてしまって収拾がつかない。
いったい、競走馬にとっての幸せって、なんなのだろう。

3月16日の更新に、この文章に向けてのリアクションを受けての追記があります。最後まで読んでまだお時間に余裕があれば参考程度にどうぞ。

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